ヨリーン・アム渓谷

ヨリーン・アムは、ウムヌゴビ県ブルガン郡、ダランザドガドから西へ約45km、ゴビ・グルバン・サイハン山脈のズーン・サイハン山の谷あいにある渓谷です。名前は猛禽の「ヨル(ヒゲワシ)」に由来します。平均標高は約2,800m、保護区の面積は約64㎢です。
ズーン・サイハン山を北東に切り開くように流れる川がつくった、狭い渓谷です。谷底には小さな小川が流れ、冬は氷に覆われます。かつては一年じゅう氷が残っていましたが、近年は地球温暖化などの影響で、多くの場所で氷が溶けるようになりました。一方で、日がほとんど当たらない場所では、今も1m以上の厚さの氷が残っています。両側には、高さ200mに達する切り立った岩壁がそびえています。
この谷には、こんな言い伝えがあります。昔、グルバン・サイハン山の近くに、とても美しい娘が両親と暮らしていました。土地の老いた貴族が娘を妻にしようとしましたが、娘にはすでに愛し合う貧しい青年がいました。老貴族は娘の両親と企み、「ヨルの巣の薬材(サンガス)を取ってきなさい」と青年に命じます。ヨルは断崖の頂上に巣をつくり、めったに地上に降りず、獣の骨を岩に打ちつけて砕いて食べる強い鳥だからです。サンガスは、昔から胃腸の病の薬として使われてきました。
青年は命がけで切り立った岩壁をよじ登り、見事にサンガスを持ち帰りました。老貴族はなすすべなく娘をあきらめ、2人は結婚して幸せに暮らしたといいます。この伝説は、愛の力はどんな困難も乗り越えることを伝えています。
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