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モンゴルの暮らしと文化を知る
| 入る | ゲルに入ったら時計回りに進んでテーブルに着く。帽子はかぶったままで大丈夫 |
|---|---|
| お茶 | 塩味のミルク茶「スーテイ・ツァイ」。ポットの注ぎ口は、ゲルの扉の方向に向けない |
| 受け渡し | 右ひじの下を左手の指先で軽く支えるようにして差し出す。受け取るときも同様に。お茶は一度は口をつける |
| 断り方 | 「bolson(もう結構です)」とはっきり断り、「bayarlalaa(ありがとう)」と感謝も伝える |
| 別れ際 | 「次に会えるときまで」の意味を表すあいさつ。何か食べ物を一口食べてから席を立つ |
草原の暮らしには、遠い昔から伝わる風習がたくさん残っています。ゲルを訪れる機会があるなら、知っておくとよいものを紹介します。
まず、ゲルに入ったら、時計回りに進んでテーブルに着きます。帽子は、正装の一部と見なされるので、かぶったままで大丈夫です。脱ぎたいときは、形を整え、かぶり口を下に向けて置きます。丸めたり、踏んだり、お尻の下に敷いたりと、帽子をぞんざいに扱うことは、モンゴルでは不作法になるので、気をつけましょう。
ゲルの中では、何事もあるじが最優先です。お茶や食事も、客人より先に家長へ出す習慣があります。
テーブルに着くと、間もなく塩味のついたミルク茶「スーテイ・ツァイ」が振る舞われます。このとき、お茶のポットの注ぎ口が向けられている方向に注意してみましょう。ゲルの扉のほうには向けられていないことに気づくはずです。これは、注がれるお茶とともに、幸運が外へ出て行ってしまうと信じられているためです。
お茶の受け渡しのときの手の使い方にも気をつけましょう。モンゴル人は、右ひじの下を左手の指先で軽く支えるようにしながら、茶碗を差し出してくれます。そのときは、同じようにして左手を添えた右手で受け取るか、両手でもらいます。さまざまなシチュエーションで使える受け渡し方なので、覚えておきましょう。
お茶は、飲み干さなくても、必ず一度は口をつけてから置きます。もてなしてくれる家の人への礼儀です。「アーロール」などの自家製チーズやお菓子が出されたときも同様です。遠慮せず、大皿からひとつ取って、味見してみましょう。
旅行中、羊をつぶす場面に遭遇できたらラッキーです。捕えられた羊は、脚を縛られ仰向けに寝かされます。胸にナイフで小さな切り口が作られ、そこから腕が差し込まれて、心臓脇の動脈を断ち、間もなく羊は絶命します。大地を血で汚さないよう、血は、仰向けになった羊の腹腔に貯められます。その血はていねいに汲み取られ、あとで腸詰めにされます。
モンゴル人は、家畜を解体して食べる前に、必ずその肉をひとかけら火の中へ投げ入れます。火の神と家畜への感謝の印です。
夏の草原での肉料理の代表格といえば、缶の中に焼いた石と肉を交互に入れ、外からさらに直火で熱して蒸し焼きにする豪快料理「ホルホグ」か、新鮮な塩ゆで肉「チャンスン・マハ」でしょう。もしも骨付き肉が食卓にあったら、ぜひモンゴル人の食べ方に注目してください。骨に食べかすが残らないように、薄い膜までナイフできれいにこそげ取って食べる様子が見られます。モンゴル人の食べ終わった骨は、光り輝くほど美しく、驚くばかりです。
夏なら、馬乳酒やチーズ、クリーム、ヨーグルトなど、自家製の新鮮な乳製品も振る舞われるかもしれません。ぷつぷつと泡立つほど発酵が進んだヨーグルトも、マイルドな味に慣れた日本人にとっては、野趣あふれる味わいです。なぜかヨーグルト限定の習慣ですが、モンゴル人は、食べ終わった器を舌でなめて、ぴかぴかにします。老若男女普通に行っています。
食事のときは、進んでおかわりしましょう。たくさん食べることは、家人への感謝と親しみの証しなので、遠慮はご無用です。満腹のときは、「bolson. もう結構です」と言って、はっきり断ります。断っても失礼にはなりませんが、「bayarlalaa. ありがとう」の感謝の言葉も忘れずに伝えましょう。
いよいよ、ゲルを去るときが来ました。最後に、何か食べ物をひとつ口にしてから、席を立ちましょう。もてなしを受けたことに対する感謝の意を表す、粋な習わしです。
親しい者同士の長い別れのときは、さようならのあいさつとして、ほおの片方にだけキスをします。通常、あいさつのときは両ほおにするものですが、このときばかりは、もう片方は「次に会えるときまで」とっておくのです。